ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学
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人気ランキング : 11716位
定価 : ¥ 714
販売元 : 中央公論社
発売日 : 1992-08 |
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生物学的に人間を再考する一冊 |
「ゾウにはゾウの時間、ネズミにはネズミの時間ある」というのが、本書の題名の意味するところである。つまり、生物はサイズ(体重)によって、生物が感じる時間の早さが異なるということである。
さて、「サイズ(体重)によって、生物が感じる時間の早さが異なる」ということは、生物の時間概念だけが変わることではない。生物のサイズによって、体の構成や生息密度,運動の仕方…など様々なことに、ある規則を持った違いが現れる。そういった違いがなぜ起きるのかということを説いているのが本書である。
本書は決して簡単な本とは言えない。それなりに数式も出てくる。最低でも高校数学ぐらい理解しておかないと消化不良になると思う。しかし、それでも本書が名著であることは間違いない。本書を読むと人間が人間たる理由、そして様々な生物が現状の形で存在する理由が分かる。生物において、人間を絶対的な基準とするのではなく、人間を相対的な基準として、人間が人間たる理由を考えるのに最適な一冊だと思う。自信を持ってお勧めできる一冊である。
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難しい理論を面白く紹介 |
本書は動物の体が自然によってどう設計されているかを次元解析という方法で説明するものです。次元解析は物理学や機械工学では良く知られている方法で、およそ形のあるものすべて例えば土木建築から映画の特撮や料理に至るまで広く適用可能です。生物学への応用も昔から行われていて、古くはガリレオ・ガリレイの新科学対話に動物の骨の太さの話が出てきます。
次元解析は相似性と密接な関係があります。相似な三角形は隣り合う辺の長さの比がどれもおなじです。この二つの長さは同じ単位で測られる量なので、それらの比は単位(次元)を持ちません。これを無次元量といいます。本書の冒頭に出て来るのは、哺乳類の心拍の周期と平均寿命の比でこれも無次元量です。哺乳類ではこの量がみなほぼ同じなので、時間的に相似であると言えます。ゾウとネズミのように体重が何桁も違う動物が相似性を持っているというのは驚くべきことで、これがタイトルの由来です。長さの相似、時間的な相似、重さの相似など色々な相似がありますが、長さの2乗に比例する量、3乗に比例する量など様々で、すべてが同時に相似ということはあり得ないために、たとえば体の長さが決まると、自ずから他の量も決まってしまう場合がほとんどです。これが次元解析の手法です。本書ではエネルギー代謝や流体から受ける力なども取り上げて動物の体がどのように設計されているかを説明しています。うまく話題を選んで読者の興味を離さないように書いた著者の手際は見事で、興味深く読むことができました。
みなさんも書いていらっしゃいますが、問題は数式です。式のある本は読み慣れているのですが、それでも付いて行けずにそこは飛ばして結論だけ読んでしまった箇所がいくつかあります。縦組みが基本の新書版ではうまく書けない内容なのではないかなという感じを受けました。
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生物学に興味なくても |
私自身は「生物学」というものに全く興味なく、ラジオでたまたま紹介していたので読んでみた。面白かった。なによりも、おそらく読んだ人は等しく同じ事に感動されると思うが、「動物はそれぞれの時間を生きている」とういう点。一生の間に打つ心臓の鼓動の回数はどの哺乳動物でもほぼ同じで、身体が大きくなればゆったりと、小さくなれば早く打つ。だからそれぞれの動物にしてみれば、同じ時間を生きている、という説明を読んである意味精神的に慰められる。それは小動物(世にペットと呼ばれるが)と一緒に生活していると必ず彼らの死を見つめなければならないから。もうひとつ興味を引いたのは「島の理論」。
おすすめです。
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生き物って うまくできている |
動物がなぜそのような構造を取っているのか?
そのことに納得のいく説明が付けられていると、実に気持ちがいい。
生き物ってすげーなぁと、心底思ってしまう。
そういう本です。
ぼくは、細胞の話、昆虫の話、サンゴの話が特に好きです。
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生物設計の入門書 |
1992年に大ブレイクした新書。内容は、生物は自らが生きてゆく方法・生活環境などによって体重・骨格・形・移動方法などが各々相関しあって合理的に決定されている、ということを若干の数式をも利用し証明を試みている。その中の一つとして、タイトルにもある、サイズによって象やねずみは各々スケールの違う時間を生きている、ということも述べている。つまりこの世で合理的に生きてゆくために生物がどのようにデザインされているかを述べている。
説明する際キーワードとして応力、Re(レイノルズ数)・弾性相似・ラーメン構造、モノコックなどの言葉(これらは工学の世界においてはありふれた言葉)などが出てくる。生物学の本でありながら、エンジニアの手法が多数出てきて面白い。用語の意味は一応説明されているが、初めて聞いた人がこれだけで理解できるかは不明。数式自体は指数がわかれば理解可能なレベルである。
将来、生物を人間が設計し製造するようになれば、この本は古典的名著として入門者に読まれるようになる、と思えるほど良い本であると私は思います。
さて、この著者、昔NHK教育の市民大学講座(という番組だったか?)で講義していました。内容は本書に沿ったもので、かなり興味をそそる内容でした。また著者の性格もかなり面白く、講義に花を添えてくれた。当時、質問を手紙で出したら返事もくれた(とのこと)。どこかに録画があれば一緒に見てください。