シンガポール捕虜収容所―戦後60年・時代の証言
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定価 : ¥ 1,680
販売元 : 明石書店
発売日 : 2005-12 |
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日本人にとり、今大事なことは |
捕虜や戦争被害者の記録は幾つか読んでいるが、本書は抑制のとれたトーンで、客観的に事実を記録し、後世に残そうとする筆者の気持ちが読み取れる好著である。
靖国問題が原因で、中国や韓国との関係が悪化しているが、本著は、私たちが、その原点を考える上でも参考になる一冊だと思う。元捕虜たちの証言を読みながら、私は、近隣諸国民との間でも、戦後処理はいまだ終わっていないことを改めて考えさせられた。多額の無償援助や経済協力を含む法的戦後処理はとっくに終わっているが、日本軍の残虐行為により、心身共に痛めつけられた人や、肉親が犠牲になった人々の心に届くような真摯な反省や謝罪が被害者の心に届いておらず、わだかまりや憎しみが残されているように思われる。残虐行為による心の傷は簡単には癒されない。高松炭鉱の暗がりの中で働かされた英国人捕虜ピーター・ローズは、自らの過酷な体験にもかかわらず、戦後日英親善交流に尽力した人物である。そのローズが、「帰国の途次、長崎の原爆投下現場を目撃して、その悲惨さに衝撃を受けながらも、捕虜の虐待ばかりでなく、シンガポールで中国人婦女子の虐殺など日本軍が行った数々の残虐行為を思い起こすと、これはやはり当然の報いだと考える気持ちの方が勝った。今でもその気持ちは変わらない」と書いている(P194-5)。戦争と云う異常な環境下とはいえ、一般人や捕虜への残虐行為が如何にひどかったかは、ローズの一文からも理解される。私たち日本人が加害者だった事実への認識と率直な反省だけは避けて通ることは出来ない。戦後60年を経て、なお、事実認識と反省が充分になされたと相手側に受け止められていないことを私たちはどう受け止めるべきなのかを考えさせられる一冊である。